よく「勉強ができる人には『先を読む力』がある」と言われる。
数学の文章題を見れば頭の中で式が構築され、英語の文法問題を見れば、その設問が何を求めているのかが即座に見えてしまう。
私は将棋の有段者であるが、学生時代、いわゆる数学の文章題は苦手だった。
将棋の読みがそのまま勉強に直結するかといえば、私のレベルで断言するのは難しい。プロ棋士の世界は別格だとしても、将棋の読みと、机上の勉強は、使う回路が微妙に異なるからだ。
では、この「先を読む力」の正体は何なのか。
最近、確信に近いものがある。それは、「人生の経験値」ではないだろうか。
「小さな挑戦と、小さな失敗の積み重ね」。これこそが、先を読む力の源泉である。
「これをやったらどうなるか?」という仮説を立て、実際にやってみて、失敗する。その痛みを知るからこそ、次は別の道を選択できるようになる。この繰り返しが、いつしか日常のあらゆる場面で「結末を予測する力」へと昇華されるのだ。
だからこそ、家庭において「今週の総括」をする場があると良い。
今週、どんな挑戦をし、どんな失敗をし、そこから何を学んだか。食卓で家族とそんな話ができる環境は、まさに最高レベルの教育の場となる。
私自身、塾の現場でもそのような機会を作ろうと考えている。
ただの知識の詰め込みではなく、失敗を恐れずに挑戦し、その経験をどう「先読み」に活かすか。それこそが、賢伸塾が目指す「覚醒」へのプロセスである。
勉強という戦場において、知識は武器に過ぎない。
その武器をいかに使いこなすか、その「先を読む力」というOSを磨くことこそ、今、子供たちに最も必要な教育なのかもしれない。