知行合一


2026/6/12

知行合一

信長の野望と現実経営の違い——知識と胆力について

 「信長の野望」というゲームをご存知だろうか。

 戦国時代を舞台に、国内を豊かにし、数多くの武将を操りながら日本統一を目指す。実はハーバード大学で経営の教材として取り上げられたこともある、本格的な戦略ゲームだ。やり込めば誰でも強い大名ならクリアできる。私も中学生の頃はかなりやり込んだ。

 「自分が戦国大名だったら、とっとと天下を取れるのに」

 本気で中学生の頃そう思っていた。

 しかし実際に経営をしてみて、最初に気づいたことがある。

 部下は、ゲームのように都合よく動いてくれない。

 ゲームの中では

・命令すれば即座に動く

・裏切りは「忠誠度」という数字で管理できる

・失敗してもリセットできる

 現実では

・人間には感情がある

・数字で管理できない

・リセットボタンはない

 

 では、人間力や胆力はどこで育つのか。

 

その一つが私は部活動だと思っている。

 

仲間と一緒に高みを目指す経験。ぶつかり合い、それでも同じ目標に向かって走り続ける経験。教室では学べない、本物の人間関係がそこにある。

 ゲームの中では仲間は「ユニット」だ。しかし部活の仲間は感情を持った人間だ。衝突して、悩んで、それでも一緒に戦い続けた経験が、後の人生で必ず活きてくる。

 

 知識を持って社会に出た時、最も苦しむのは「知っているのに通用しない」という経験だ。

 理不尽な上司がいて、非効率なやり方を押し付けられる。知っている分だけ、苦しさが増す。私自身も、そういう経験を重ねてきた。

 ビジネス知識は、下っ端には必要がない。むしろ邪魔になることすらある。

 だからこそ、私が子どもたちに教えたいのはビジネス知識ではなく、古典の知恵だ。

 論語・孫子・貞観政要——2500年間、どんな時代も、どんな立場でも生き続けてきた言葉がある。

 下っ端の時も、中間管理職の時も、経営者になっても。どんな立場でもプラスに働く。

 

部活で仲間とぶつかった経験に「以逸待労——今は耐える時だ」という孫子の言葉が重なった時、その経験は10倍の深みを持つ。

 ゲームはリセットできる。しかし人生はできない。

 だからこそ、リセットできない現実を生き抜く「軸」が必要なのだ。

 

 




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